FifteenHounds
-フィフティーン・ハウンズ-


※非18禁
メーカー 原画 シナリオ
MUYM kaiga / 鍋焼き猫 / 加画都 /
吉岡よしこ / 水月 / ハル
森廣 達哉




総合点数 オススメ シナリオ CG BGM システム
150 90 20 20 15






望まれていなかった主役

 ※ネタバレ注意
 
ネタバレすると楽しさ
半減ですのでプレイ後に
ご覧ください
という訳で今回レビューするのは久しぶりの同人ゲームでしかも全年齢作品の
「FifteenHounds -フィフティーン・ハウンズ-(以下、FHと略)」よ。

プレイしたのは本当に偶然だったけど、同人作品としてもゲームとしてもなかなか楽しめる作品だったわねぇ。

青葉

茉理
まずはあらすじを簡単に紹介しますと、大企業「水島グループ」の息子として育てられた主人公の「水島蓮梧」さんですが、実は7年前に死亡した本当の「水島蓮梧」さんの身代わりとして育てられた孤児でした。そして現在、誘拐され連れ去られた先で待ち受けていたのは見知らぬ兵士達と『鵺(ぬえ)』と呼ばれる化物との戦闘でした。

兵士達は時間軸の違う30年後の3つの未来から来た5人1組のチームで、それぞれが戦い、生き残ったチームの世界だけが時間軸の世界として生き残るという戦いでした。水島蓮梧さんはこの戦いを取り仕切る水島グループが裏切らないようにと3チームに人質として戦いの渦中に巻き込まれていきます。

しかし、その最中に別れたばかりの元・恋人の福井 冬香さんが戦いに巻き込まれて殺されてしまいます。水島蓮梧さんは何故冬香さんが殺されたのか、そして殺した犯人を捜すべく戦いに参加していきます
…というものです。
最初に設定を見た時はぼくらのキラークイーンを足して2で割ったような感じだと思ったわ…でもプレイした後だとFate / stay nightで割ったといえば説明しやすいかしらね?
青葉

茉理
それは判りやすいですねw 実際には少し違いますが作品の構成とかは確かにそうなっていますし。

では早速レビューに入りますが、やはりシナリオがウリの作品ですから青葉おねーさんの所感を聞かせて貰えますでしょうか。
さっきあらすじを小娘が説明したように基本的にバトル中心のシナリオだし、実際にそれが面白かったのも事実よ。でも私個人としてはそれよりもキャラクター1人1人の個性と人間関係が絶妙に良くて楽しめたのよ。まずはその辺を話したいと思うわ。
青葉

茉理
確かに登場人物はかなり多いですよね…未来から来たチームの人だけでも15人居ますし、こう言ってはなんですが皆さん個性が強い人達ばかりで…(^^;;
本当に濃い変態ばかりで驚いたわよ(−− 
ガチホモやいい年して厨二病全開だったりナルシストに童貞コンプレックス、戦闘マニア、ショタコン、愛妻家のロリコン等々…羅列しただけでも相当凄いわよ? それ以外にもギリの双子の姉はドMだし、ヒステリー持ちの姉なんて胸パットとか設定が細かかったわねー。

青葉

茉理
そのせいでしょうか、テキストがとても面白かったですねぇw 古い時事ネタや他のゲームのパロディギャグとかもあってシリアスな設定なのに決して暗くならずにプレイできましたね。
その点は賛否あるかも知れないけどFateなんかとは違った点ね。確かに暗く重い話だけれどもキャラの性格やこういうギャグとかが良い意味で息抜きや淀んだ雰囲気を風通し良くしていたのは間違いないわね。何よりも殺し合いをしていているのに飄々として戦っているチームのキャラクターは格好良かったわよ(−−
青葉

茉理
あと先程仰っていたキャラクター同士の人間関係というのもよくよく考えると確かにそうですね。謎解きや重要な部分では必ずと言っても良いほど絡んできていましたし。
そうでしょう? 二人の藪 久志の伏線が後々になって関わってくるし、冬香の一件についてもそうでしょう。大概シナリオの重要なイベントは戦いの裏側で起こっていることが多かったわね。その意味でも戦闘モノよりもヒューマンドラマとしての側面が強かったと思うし、それをライターが書きたかったように感じたわ(−−

青葉

茉理
このままシナリオの話に移りたいのですが、先程も例として出たFate / stay nightに構成面で似ているのは私も感じましたねぇ。特に1回プレイする度に新しい展開や謎が生れてくるので続きが気になる造りになっていたのは上手いと思いました。
結局3周プレイしないとFHの物語の全容が判らないところもFateと似ていたわ…でも物語の核となっていたのはとの戦闘ではなく人間関係がメインだったわね。1周目は確かに鵺との戦闘がメインではあったけどラストでのあの展開は驚いたから、2周目はどうなるのかと思っていたら…。
青葉

茉理
まさかのクリスさんが中心の話でしたからね(^^ 彼女の体の秘密とそれを利用しようとするチーム間の争い、そして眉村さんの報われない想いと絶望とで1周目とは全然違っていましたね。
何よりメインとなっているのが冬香の犯人捜しだったしね…その上で最有力容疑者のクリスに対して問い詰める主人公に返す言葉はかなり重かったわね。確かに主人公は犯人を捜しているけど結局は自分の都合の良い結末が欲しかっただけで犯人なんてどうでも良かったのよね…。

とにかく1周目からプレイしていると主人公のネガティブな性格が鼻について色々と辛かったわね(−− そりゃ殆ど売られたような状態で引き取られたとはいえ金持ちの御曹司となったのに不平不満ばかりで正直気に入らない奴よね(−−メ だからバッドエンドの度に拍手してやったわ。

青葉

茉理
冒頭の冬香さんの扱いとか見てもあまり気持ち良くはないですよね…それで2周目最後のあのCGには驚いてしまいましたけど見事に3周目の伏線になっていた訳ですね(^^
つまりは2体目のが登場してくる訳だけど2周目終盤で1周目では鬼のように強かったが弱体化していて笑っちゃったけどね。まさかああもアッサリとやられるとはね…でも、それすら本来の目的を隠す為の隠れ蓑でしかなかったのは結構やられたわ。
青葉

茉理
よくよく考えれば変ではありますよね。何故、わざわざ未来を決める戦いに退治を選ぶ必要があるのかと考えれば成る程と思いましたね(^^
未来人同士の戦いの真の目的と2体目ので3周目はかな盛り上がったわ。特に前者の目的に加えて、それに隠れていたもう1つの伏線が更に緊迫感を増して展開が面白くなったわね。
青葉

茉理
まさか、あの方の正体が…という感じでしたからねw 1周目と2周目で殺されてしまっていましたからあまり気にしていなかったら予想外の方向に話が進んでいきましたから驚きましたよ〜。
しかし性格があまりに違いすぎてとても演技とは思えなかったけれどね。豹変する前と後では別人としか思えなかったわ(−− 
青葉

茉理
そしてあのラストの決戦はまさしく死闘でしたよね…。
楽団との戦いよりも主人公とアレとの因縁の対決の方が面白かったけどね(−− しかし、あんな性格で良くも演技できていたと思うわよ。私だったら速攻で主人公を殺していると思うけどね…。

で、最後にとの対決だけど。

青葉

茉理
実際に倒すのが難しい以上、1周目の方法が一番確実ですからね、確率は低いですが。
・・・・・・余談だけど金縛りにあった時も思ったんだけどさぁ…主人公の顔はハッキリ言って醜いわよねぇ。なんていうか、内面の貧相さが全面に表れてる感じで(−−
青葉

茉理
それはちょっと酷い気がしますが…(;´Д`)  

話を戻しますが、あの結末はどうでしたか?
エンディング10を指して言っているのなら一番しっくり来る結末ではなかったかしら?
の怨嗟の台詞は当然だと思うけど?(−−

青葉

茉理
ある意味仕方ないとはいえ、でも同情の余地はありますが…。
だったら尚更早めに言っておくべきだったと思うわよ? それを言わなかった上に冬香殺害の犯人捜しをする為だけに自分が捨て駒だと言わずにいたから同じ時間軸から来た仲間を殺されたんだからねぇ。
しかも何故戦うのかという理由にしても主人公が「水島 蓮梧」でないと意味がないんだからね…。

例えで話すと、舞台に上がるべき主演の俳優がおらず、その代わりに急遽、そっくりな主人公が舞台に上がったようなものよ。そっくりだから競演している仲間は気付かずにフィナーレになってようやく違うと気付いたようなものなのよ。確かに見事に演じきったけど本物でないのだから、見ている方も演じている方も騙されたと思うのは当然よ。所詮は代わりにならない人間なのだから。

青葉

茉理
そういう意味では偽物の「水島 蓮梧」さんが最大の犠牲者なのかも知れませんね…。
それにしてもシナリオに関しては未来軸間同士の争いととの戦いを絡ませつつその裏にある設定を上手に活かした印象ね。ただ、その設定とかを完全に活かせていたかはちょっと疑問ね。
青葉

茉理
後でおにーさんが語りますが伏線を活かし切れていない部分もありましたし、時々、文章表現が難解なところもあって読み難かったりもしましたね…(^^;;
それ以外にもグラフィックなんかも言いたいことはあるけど、そういうのが同人作品らしさではあったわね。少なくても下手な商業作品よりも面白かったしプレイして良かったとは思うわ。
青葉

茉理
とりあえず今年の新作の中では1番ですかねぇ〜。
まあ4分の1しか過ぎていないから暫定ではあるけどね(−−
同人作品では「indigo」もあるし、今年は同人作品に期待したいわね。

青葉

茉理
という事で今回のレビューを終了させて頂きますねぇ。






シナリオ

 シナリオはクリア後に新たなシナリオが解放される方式ですが、これはなかなか良かったと思いますね。特に1周目と2周目の引きの上手さでプレイしたくなりましたから見事だと思います。この辺はFateっぽかったですが私個人はそれよりも上手に活かしていた気がしますね。

 そして個人的に一番評価したいのはキャラクターの設定と使い方、シナリオの融合させ方については感心させられました。メインの戦いよりも各々が目的を持って戦いに挑んでいるので裏切ったり協力したり(微妙に)恋愛したりと飽きずに長時間プレイできた1番の要因だったんじゃないかと。特に未来から来た15人はとにかく1人1人のキャラクターが濃いのでインパクトが強かったですね。それでいて決めるとこでは決めてくれるので格好良かったです。しはかし分かっていたとはいえ、確実に全員死んでしまう展開(生き残りますがシナリオの展開ではもれなく全員死にます)は結構辛かったなぁ…特に序盤で女性キャラが死ぬと凹んでしまって結構ガッカリしたものですw

 ただ、それだけに気になったのは未回収の伏線と文章の回りくどい表現が読みづらくて意味が理解出来なかったことでしょうか。前者は後ほど語りますけど、後者は結構読み疲れてしまいましたね。シナリオが長い分、もう少し無駄な表現や文章は削除するとテンポが良くなったとは思いました。

 あと1番気になったのは主人公の存在意義ですかね。確かに存在理由としては設定が最大の理由なので仕方ないんですが、あまりにも役に立たないし受動的なのでイライラしてしまいましたね(^^;; それでいてワガママで捻くれている正格には共感できる部分は無かったというのも辛かったですね。


原画・CG

 原画は実に6人も参加しているのですが、最大の難点はキャラクターの描き分けが出来ていなかったという事でしょう。立ち絵を見た後にイベント(戦闘)が発生するとまるで違うキャラクターが出てきて一瞬判らなくなる時があります。まあ服とか特徴で判りますけど流石に同じキャラを複数の人が描いているとクオリティ的に差が激しくて辛かったというのが本音。せめてキャラクターだけは統一して同じ人が担当して欲しかったなぁ…。

 FHは全年齢作品ですからHシーンは一切無かったですが、サービスカットは豊富。個人的に最萌えは鷲原 左京と同衾した時でしょうw 何故かロリ枠で優遇されていた左京は可愛かったですねー。

 あと背景は写真を加工していましたが、某有名な新宿西口にある建物が出てきた時は吹いてしまいましたw


音楽・BGM

 OP、EDともにボーカル曲が入っていた点は良かったですね。好みはED曲の方。それとBGMに関してもアレンジ違いも含めて44曲も用意している点は評価出来ます。


システム・操作性

 どうやらバグがあるようですが自分は遭遇しなかったので問題なし。プレイする人は修正パッチを入れてからプレイしましょう。

 しかし、最大の難点はテキストの表示が非常に遅いこと。戦闘などで演出が派手なだけに重いのは判りますけどこれはキツかったですね…とにかくテンポが悪くなってしまって個人的にはかなり厳しかった。そして既読スキップもいちいちシステム画面にしないと使用できないのも使い勝手は最悪に近いかも。同人作品なので多くを望むのは間違いかも知れませんが勿体ないですね。

 あとタイトル画面でイベントCGが流れますけどネタバレの映像まで流れるのは止めた方が良かったかも。


オススメ度

 同人作品なので3000円で遊べるのは魅力的。伏線などの張り方も良くじっくりと腰を据えてシナリオを楽しみたいのなら今現在でお薦めできる作品の中ではピカ一でしょう。パッケージも商業作品並にしっかりと紙の箱で作られていますし満足度は高いでしょう。

 戦闘モノとしても謀略モノとしても楽しめる点では私は手放しでお勧めしたいですね。


My Favorite's

 やはり未来から来たキャラは個性が強い面々が多いし、最後までプレイするとほぼ全員に感情移入しますが、この中で選ぶならE(エコー)軸の5人でしょう。

 リーダーの重政 海月は完璧な厨二病だし、田之頭 雅影の秘密はウルっと来ました。戦闘マニアの紙谷 乙姫の過去の重さと強さは格好良すぎ、眞銅 銀二の関係と彼の優しさもインパクトがありました。そして鷲原 左京雅影の関係というのも面白かったですね。

 エンディングは紙谷 乙姫のが個人的に一番スッキリしますよね!w 
最後の最後にあの高慢ちきな多佳乃をぶち殺したシーンは良かったですね(何 命乞いする多佳乃「駄・目☆」と言い放つ乙姫が格好良すぎでした。


備考

 「忘れるな、絶対見つけ出してぞ!
  30年後、私の手で、必ずおまえを殺す!」



 この台詞が全てを表わしている作品でしょう、FHは。望まれない役者が舞台に上がってしまった悲哀があのエンディングにはあったと思っています。路線は違いますが主人公の立ち位置は「厨恋」と似ているかも(あまりにも内容と雰囲気は違いますが)。本来、主人公になれないキャラが主役をしている視点というものが描かれているのは面白かったんじゃないかと。

 それだけに未回収の伏線が多く、それが物語の重要な部分に関わっていたので勿体なかったと思いました。個人的に自分が感じたものを挙げておくと、
  • 1.偽物の「水島 蓮梧」のもう1人の肉親は誰?
      田口の台詞から2人兄弟というのが判るんだけど非よっとすると2番目の伏線に関わっているかも

  • 2.高階愛夜とは何者なのか?
      水島 蓮梧に会いに来るという理由があるが、それは本物になのか偽物になのか判らないけれど、後  者なら1の理由と合わせて理解出来るんですが…。

  • 3.福井 冬香が自殺した理由は?
      あれだけ拒絶されてもそばにいたのに死ぬ理由が判らない。殺されたのが妥当だと思うのだが。



 続編を期待したいところですがどうも作る予定はないらしいので勿体ないかなと。少しばかり気になってしまいますね。


 



2010年03月30日 草薙静流




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