| DEARDROPS | ||||
| メーカー | 原画 | シナリオ | ||
| OVERDRIVE | 藤丸 | 那倉怜司 | ||
| 総合点数 | オススメ | シナリオ | CG | BGM | システム |
| 100 | 60 | 10 | 10 | 10 | 10 |
共感出来ないシンデレラストーリー
※今回のレビューには多分に毒舌が
多いので作品に愛着を持っている人は
読まないことをお勧めします。
2007年にリリースされた同メーカーの「キラ☆キラ」が本当に素晴らしい作品で3年経った今でも鮮明に記憶していたのでまたああいう作品が出てこないかと期待していたのですが、メインライターの瀬戸口廉也さんがエロゲライターから引退してその夢も霧散してしまいました。
そんな時にOVERDRIVEから久々の新作として発表されたのが「DEARDROPS」でした。が、ライターは当然別人で全くの無名の方、原画も同メーカーの看板絵師だった片倉真二さんから藤丸さんに変わってしまいました…当然不安に思う訳で、私としても直前まで買うのを迷っていました。奇しくも同月にこういう作品も発売されていましたから。結局決め手となったのは通販特典というしょーもない理由。結果としてこれが失敗の元だったんですが…(;´Д`)ァゥ
そんな理由でプレイすることになったDEARDROPSでしたが…まずは簡単なあらすじ紹介。
若くして名バイオリニストとして活躍していた菅沼 翔一はドイツでとある事件でバイオリンの世界から足を洗って帰国。幼馴染みの桜井 かなでの実家であるライヴハウスで住み込みで働き始める。そんな時に常連客の権田 英嗣(ごんだ えいじ)のトラブルに巻き込まれてギターを弾くことになり、それを切っ掛けにロックバンドを始めることになる。
これが大まかなあらすじです。
今回のDEARDROPSとキラ☆キラとの最大の違いはバンドメンバーのほぼ全員がプロ級の腕前を持つミュージシャンというのとキャラクター達の性格が非常に個性が強かったという事でしょうか。それが作品の評価に多大な影響を与えた間違いないです。ただ、それらを有効に使えたかというと疑問でしたけどね…最後までプレイした時に頭に浮かんだのは「設定として何1つとして噛み合っていなかった」という事でした。1つ1つはそれなりのクオリティなのに作品全体として見てしまったらバラバラだったというのが本音。奇しくも作中の主人公が作ったDEARDROPSというバンドと同じで一体感に欠けている作品だったというのが偽らざる感想でしたね。
折角なのでヒロイン毎のシナリオで語らせていただきたいと思います。
■桜井 かなでルート
主人公幼馴染みというポジションでライヴハウスのオーナーの娘という事でことある毎に色々とアドバイスしてくれる存在でした。主人公に対する好意も持っていてある意味典型的なキャラクターと言えるでしょう。作品冒頭から歌が上手いという伏線があったので予想通り、夏のイベントで体調不良からダウンした律穂の代わりにステージに上がって歌ったことから知人の芸能プロダクションにスカウトされるんですが…この後の展開を見た時の私の正直な印象は、
これってホワイトアルバムじゃね?(;´Д`)
個人的にこの作品には泥臭くても良いから熱い作品を期待していたのに、見せられたのがきな臭いドロドロとした芸能業界の裏舞台という展開にテンションがストップ安になりましたね('A`) いやいやこんなものが見たかった訳じゃないから!
その後の展開もお約束すぎて萎え。レオが対抗してDEARDROPSをライバルとしてプロデュースさせて競争させる点までまんまホワルバというのはどうなのよ? しかもプレッシャーからかなでが歌えなくなるという展開もねぇ…そしてラストに至る展開もプレイしていて呆れてしまったなぁ。レオンがあんな扱いではどう考えても彼は悪者にしかなりませんよ。唯一彼が登場するシナリオでこういう扱われ方は不憫でなりません。
総じて急展開が多く、面白味の少ないシナリオでしたけど唯一良かったのはプロダクションの営業(笑)でストリップ劇場で歌っていた時が一番面白かったかな。流石に高校生が中に入るのは拙くないか? それくらいしか印象に残らないシナリオでしたけどバンドのメンバーでもないし、幼馴染みというポジションも適当でちゃんと作れば面白くなったと思うだけに不遇なキャラでした。
■大場 弥生ルート
メンバー全員から「普通」呼ばわりされる天才ギタリスト(笑) 最初の頃はオーナーから変人と紹介されていたのにそんなのは最初だけで、それ以降は平々凡々という印象しか残らなかったなぁw とにかくアクの強い面子の中でかなでとともに数少ない常識人でしたが肝心のシナリオが全然面白くなかった為に印象は最悪でしたね。
進路に迷って居酒屋で痛飲していた時に誤ってギターを壊してしまう
↓
そのショックでまともな演奏が出来なくなる
↓
何とか修理して引き取った直後にひったくりに遭う
↓
それが元でバンドを半ば脱退状態で受験に専念
↓
本命の大学の受験前日に何故か名古屋でギターを見かけたという情報を得て受験を放り出して名古屋に向かう
↓
何とか発見するも相手は年下の子供
↓
結局子供から奪い返して公演で演奏
もうこれだけ書いただけで面白くない超展開ですよ。OHPのキャラ紹介で「ギターを粗末に扱っている人物には制裁を下す」とか書いてあったけど補任が一番駄目という当たりが何ともねぇ…とにかくこのライターさんはキャラ設定がすっごいブレまくるので萎えるわ。しかし、個人的に一番ガッカリしたのが名古屋で子供からギターを奪って帰ってきてしまったこと。あそこの場面はギターを子供に託すのが正解じゃね? その前のフロイラインの縁の話が伏線になっていると思っただけに腰砕けになりましたよ('A`)
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/ (●) (●) \ その展開 ない ない
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r、 r、/ ヘ
ヽヾ 三 |:l1 ヽ
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ヘ lノ `'ソ | |
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しかし一番の問題は弥生ルートでは殆どライヴシーンがなかったこと。そりゃ印象に残らないわな。
■珠野 りむルート
かなりの自由奔放キャラ。下手するとkey作品あたりに出てくるオツムの弱いアレなキャラにも(ry
で、シナリオに関しては弥生ルート同様に印象に残らなかったですね。悪いけどこの2人のシナリオは完全にサブキャラ扱いと言っても良いくらいの手の抜きようには開いた口が塞がらないね。だって選択肢も途中の1ヶ所以外は弥生と律穂と全く一緒だからねぇ…。
で、肝心のシナリオの内容はおそらく全シナリオを通すと恋愛色が一番強かったかな。ただ、一番というだけで内容的には普通でしたが。それでも好き勝手に行動していたりむが恋愛を意識して上手く演奏出来なくなり、それが原因で突然脱退して違うバンドに加入するという展開は初めて人間らしさというものを感じましたね。面白いかどうかは別として。あと実の父親がどういう人なのかというのも結局明かされず終いだったというのも拍子抜け。DEARDROPSではこういう使われなかった伏線や設定が多すぎるわ。
それにしてもこのりむの入ったバンドにしても鮫島のハイエナやMOOにしても良いバンドだと思うわ。つーかDEARDROPSがアレ過ぎるだけか。
■芳谷 律穂ルート
妥協を許さない孤高のボーカリスト。とにかくプロ志向が強く、シナリオ途中でプロで食べていく為に高校を中退。結果としてプロになれなかった訳ですが(ぉ でも全シナリオ通して一番面白かったシナリオでしたね。ただ、それは律穂が良かったというより他の要因がとても面白かった訳ですが…。
その要因というのが翔一と英嗣の2人。もうこの2人のシナリオと呼んでも差し支えない内容と言えるでしょう。過去に起きた事件が元で日の当たらない世界に身を置き贖罪していた2人の再生と復活の物語はプレイしていて良かったですね。英嗣が大阪でのライヴを切っ掛けに凋落していく姿は痛々しかった…特に失踪して神戸のライヴハウスで発見された時の姿はインパクトがあったなぁ。そして翔一に檄を入れられ再びベースを弾くようになる展開は期待していた熱いものがありましたね。
そして翔一にしても過去に起こした決して許されない罪と向き合う為に再びバイオリンの世界に身を投じるというある意味予定調和の展開でしたけど、ここでナイスアシストをしていたのは律穂でした。迷っている翔一の背中を最初に押して前に進ませるという切っ掛けを最初に作る存在として必要不可欠だったと思います。
律穂ルート最後の屋外ライヴもラストの展開としては申し分なかったです。というより、それまでのライヴシーンが全然面白くなく、最後の最後で良かったと心から思えたのがこれだけという有様でしたけど。
しかし、この律穂ルートで失笑してしまったのがレオの小物ぶりw 提案したプロデビーを断ったぐらいでムキになって潰そうとするのは心狭いなぁと本気で思っちゃいましたよ(^^;; しかも屋外ライヴを観て改心、引退して放浪の旅に出てしまうというのもなぁ…70年代じゃないんだからさぁw
トータルするとかなり面白かったシナリオと言えるでしょう。特にあのピックの由来なども描かれて最終的には今までの溜飲が下がったのがおおきいですね。結果としてプラマイゼロぐらいですけど。それだけに律穂の出番が目立たない場面で効果的に働いていました。それまでの押しつけがましい性格がかなり柔らかくなって仲間を大事にする性格に変わっていく様も面白くなっていた要因と言えるでしょうね。
・・・・・・最終的には盛り返しましたけど全体を見たらややマイナスという評価になってしまいますねぇ。比べるつもりはありませんがあのキラ☆キラとこれだけ設定が似ていれば比較せずにはいられないでしょう。設定は似ていても中身はまるで別物。どう良く言ったとしても同じメーカからリリースしたとは思えないくらい作品に差がありましたね。やっぱり二匹目のドジョウはいないというのは本当のようです。
| シナリオ | 那倉怜司さんという方がライターですがどうやら今回が初めてメインライターとして参加したようですね。そのせいかシナリオのバランスがあまり芳しくなかったですね。特に共通シナリオが全体の2/3近くを占めているせいで弥生やりむルートはかなり短く感じられました。それとキャラ設定もかなりブレてプレイしていて違和感を感じたのも評価として低くなった要因の1つです。弥生なんて変態でもなく普通の人でしたね。個人的にキャラクターに対してあまり感情移入出来なかったのはそれぞれのキャラへの掘り下げが足りなかったからだと思っています。 あと作品的に盛り上がりに欠けた原因は演出がとにかく下手だったからしょうね。キラ☆キラが面白く感じたのは盛り上がる場面でしっかりと力を入れていたから。しかし、DEARDROPSではこれから盛り上がる場面というところをあまりにアッサリ流してしまっていたり適当にしてしまっていることが多かったように思えました。これは完全にライターとしての実力が段違いというのもあるでしょうが、ベタでも良いのでしっかりと描いていれば評価は違っていたでしょう。 |
| 原画・CG | 原画は「キラ☆キラ 〜カーテンコール〜」から参加している藤丸さんですが、絵は上手いと思いますが、魅力という点では片倉真二さんには及ばなかったですね…絵的には間違いなく今風の絵で上手なんですが、もう一つ魅力がないんだよなぁ。 Hシーンは少なくかなり物足りないですね。シチュエーションもあまり良くなかったせいもあって本当に取って付けた印象しか受けませんでした。 あとはウリと思っていたライヴシーンも使い回しが多く、見せ方や演出も含めてキラ☆キラには遠く及ばない出来映えでした。 |
| 音楽・BGM | 今回レビューするにあたって一番失望したのが歌も含めた楽曲面だったと私は感じましたね。色々な場面で歌を歌っていますがどれも記憶に残らない出来で割と本気でショックです…milktubさんの楽曲はキラ☆キラから好きになっていたので本気でパワーダウンしていたのには驚いています。やっぱりロックと言いつつも楽曲の大半がポップス調というのも問題ですね。 歌をテーマにしている作品で歌が駄目では評価が追いつかないのは自然の流れでしょう。 |
| オススメ度 | まず何を以てお勧めするかによって違ってくると思います。音楽モノとしてはかなり物足りない内容だし、恋愛モノとして平均以下、当然萌えゲーでもないし。青春モノや熱血モノとしては一体感の感じられないシナリオでは到底そんな風に呼べる作品ではなかったです。ただ、律穂ルートだけは比較的良く出来ていたと思いましたからこの点数ですね。そうでなかったら50点以下は確定でした(実際、前の3人攻略した時点でそうでしたから)。 おそらくライターの意図としてはかなでとの対比を作りたかったのでしょうが見事に失敗していますからねorz それ以外の2人も適当なシナリオで物足りなさを感じてしまいます。少なくてもシナリオで失敗している印象しか受けません。 ウリであった音楽も褒められたものではなくキラ☆キラ並のクオリティを期待するとガッカリするでしょうね。得も魅力が足りませんし、律穂というキャラに対して興味があれば損はしないとは思いますが…。 |
| My Favorite's | 結果として芳谷 律穂になってしまうかな。 キャラクターとしてかなり変化していく様は観ていて楽しかったのも事実。特にりむから「ヤッたの?」と聞かれて吹き出している様は最初の頃から想像も出来ませんでしたからw とはいえ、キャラそのものよりもシナリオの良さか光っていましたね。英嗣と翔一だけでシナリオを作っても良いくらいに。 |
| 備考 | 今年はヒットした作品と似た設定の新作が多くリリースされていますね。「かみぱに!」に対して「あまつみそらに!」、「Princess Frontier」に「かしましコミュニケーション」、そして今回のDEARDROPSとまるで比較してくれと言わんばかりのラインナップで色々と考察する楽しみが増えましたが、やはり問題なのはいずれも評価が偉大な作品を越えられていないのは問題でしょう。本気で二匹目のドジョウを狙っているのならともかく、そうでないのならもう少し作り込まないと厳しい評価になっても仕方ないでしょうね。 特に瀬戸口廉也という偉大なライターの作った作品と似た設定なら尚更。本人達は比べないでくれといいたいかも知れませんが、同じメーカーで似た設定で作っておいてそんな台詞は言い訳に過ぎないでしょう。今後の活躍に期待したいところです。 |
2010年07月12日 草薙静流