わんことくらそう
メーカー 原画 シナリオ
ivory あかつきまお 都築真紀




総合点数 オススメ シナリオ CG BGM システム
140 85 20 20 10 5






狂った世界の狂った人達の話




久しぶりの1人レビューです。こんちゃー草薙静流っす(=゚ω゚)ノ
そんな訳で今回レビューするのはメーカーの作品としては本当に久しぶりとなるivoryの「わんことくらそう」です。
本当ならプレイする気はさらさらなかったんですが、ぶっちゃけ言ってしまうととある方から勧められたのでモノは試しにと思って中古の格安を手に入れてプレイしたんですよ。
んで、感想なのですが。












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 ヽ_'_ノ)_ノ    \>     / / ,,,,- 一分x-、_   !/        |i  _,アナ'イ  i  !  !
   n     「 |      /  ''" / :;;r jヽ`\,/, ,リ     i_,, x=、 レ | / /  :|
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よもやここまで考えさせられるとは思わなかったです。


見た目とタイトルのほのぼのさにすっかり騙されていたわけですが今回はその辺を少し語っていきましょう。



ストーリーは猫や犬が人型ペットとして飼われたりペットとして売られている世界。
主人公の遊佐 祐一がたまたま雨の日に買い物に出かけて行き倒れになっていた人型犬のみかんを拾って介抱した事が発端となり、諸事情によってみかんのご主人様となって身近にいるヒロインとペットと交流を深めていくというのが大まかにあらすじ。


まず面白いなと思ったのが主人公の遊佐 祐一でしょう。人型ペットを飼う事が既に普通になっている世界でそれに対して違和感やある種の嫌悪感を感じることはかなり異形であり狂っていました。エッチ関連にしても過去の経歴からすっかり老成していて、どうみてもエロゲの主人公向きじゃなかったというのも他のエロゲの主人公とは一線を画していました。クールで対人関係にしても来る者は拒まず、去るものは追わずという姿勢を貫いている辺り興味深かったですね。例えるなら「家族計画」の主人公がなりきれなかった他人との関係を極力断ち切って自立している理想像といったらいいでしょうか? 他のキャラとは一歩引いている視線と姿勢で随時物語が進行していくのでとても客観的にストーリーを見せられたきがします。
しかし主人公だけでなくヒロインである他の2名にしてもどこか世間とはズレた立ち位置にいるキャラでした。



そしてそれらを象徴していたのがストーリーであり設定だったような気がします。確かにネコミミやイヌミミキャラが登場してまったりと話が進んでいくんですが私から見たら全てが異常でしたね。
何が異常かといえば「人の形をした人型ペットを人が飼っている」という異常性でしょう。人が人の形をした物を飼うという反吐が出そうなことを可愛くソフトに表現しているだけで実際は相当狂っていると思うんですよ。しかも発情期になったらペットの性欲処理の為に飼っている人間が相手をするというのも異常。お陰でエッチシーは相当多かったんですがw リアルで考えるとどう考えても獣姦物凄い事なんですが、それを普通にやっているのが何ともねぇ・・・(^^;; しかも○学生のかなとか星華も相手しているのは問題あるだろう! それらを当たり前のように描く辺り普通じゃないでしょう。


ただ、メインストーリーは里沙撫子のシナリオですが、これまた一風変わっていましたね。
桜梅 里沙にしても最初は性欲が過剰なオナニー少女ちょっとエッチな女の子かと思っていたのに個別シナリオに入った途端に主人公並みの何処か狂っているキャラというのを思い知らされましたよ。流石に付き合う過程をショートカットしていきなり結婚しようと言い出す主人公に即答するのを見てしまうとやっぱり普通じゃないなと実感してしまう内容でした。ただ単にエロい娘だけと思っていたのに撫子ルートで主人公に「自分と同類」と言われるのも納得いきましたね。


同様に望月 撫子にしてもそう。容姿と実年齢がミスマッチなのは設定としてよくありますが、中身はこれまた里沙と同じ位普通じゃなかったですね。人間関係が上手くいかず、疑似体験として主人公と肉体関係を結んでいるのもやはり世間と馴染めずにいた証拠でしょうね。しかもエピローグでは結局主人公とはくっ付かないというのもある意味納得できましたが。


そして面白い事にエロゲとしては珍しく(?)主人公が殆ど成長していない事が挙げられるでしょうw 特に撫子ルートでは最後まで1人身でしたしねw 内面的には確かに少し変化していますけど明確には殆ど変わっていないというのも珍しいです。むしろ主人公に影響を受けて里沙撫子、他のサブキャラたちが成長していっていると思いましたね。こういうパターンも最近はなかったように思えます。
複雑な過去を持っている主人公がペットを通してゆっくりと自分に関わってくる人達を導いて見守っている日常を淡々と描いている作品なので決してほのぼのとはしていないです。でもストーリー重視でもないのでなんとも評価し辛い作品ではありましたが、私はプレイして本当に良かったと嬉しく思っていますがw



とはいえ世間的にはあまり知られていない作品なのが残念。パっと見で単なる萌えゲーにみえるけど、それに留まらない広義に解釈する要素を多く含んだ作品だけにもっとプレイする人がいても良いと思うんですがねぇ・・・・・(´д⊂








シナリオ

シナリオ担当は都築真紀氏。どうにも違和感があるな、オイwww
私の世代のエロゲユーザーならやっぱり都築氏は原画家なんですがねぇ(^^;; それはともかく、シナリオはともかくとしてもキャラクターの設定は非常に良く出来ていましたね。ここら辺は「とらハ」シリーズで培われた経験が活かされていましたね。特に主人公の設定と動かし方は携わった作品を知っているだけに安心して見ていられました。

シナリオに関してはやはり描きたかったのはペットを通しての主人公達の事なんだろうなと思います。そうでなければ全般ほのぼの展開で良かった気がしますし、里沙シナリオ撫子シナリオももっと判り易いハッピーエンドにもっていけたと思いますから。
どちらかと言えばストーリーよりもテーマ性重視の作品なのでそういう意味では良かったとは思いますが。

ただ気になった部分としては人型ペットに対しての注釈説明がやや多かった事でしょうか。過剰になりすぎた感があって鬱陶しい部分ではありましたが(ぉ

逆に良かったのは主人公を含めて登場するキャラの内面描写がしっかり描いていた事。特に星華カイエの関係なんて最たるもの。カイエの葛藤とそれをやんわりと非難する虎太郎の会話とかは面白かったですね。


原画・CG

原画はあかつきまおさん。正直、それほど上手い絵描きさんではなかったですが雰囲気には合っていたと思います。若干イベントCGと立ち絵が違って見える時があったのが気になりましたが。

そして頑張っていたのがHシーン。ヒロイン2人は勿論、ペットとのエッチも相当豊富でしたね。ざっと見ただけでも1キャラに対して3回近くあった上にヒロインやペットとのエッチには他のキャラが混じるので3Pや4Pは当たり前というHシーンが多かったのも意外でした。しかも1回辺りのHシーンもそれなりのボリュームもあって満足しましたね。問題としてはHシーンの大半が主人公の性格のせいか事務的に行っている事。それ以外のHシーンも大半は性欲処理なのでどうも満足感は少なく感じてしまうかなぁ。


システム・操作性

流石に最近の作品にしては一世代前のシステムは古臭かったなぁ(;´Д`)  セーブ/ロードにしても使いづらく、システム全体も不便でした。演出も含めて、この辺を改善しないと面白い作品を作っても評価し難いでしょう。


オススメ度

これって本当に埋もれてしまっている良作の1つ。下の方で語りますが単純にネコミミとかを使っただけの萌えゲーとは明らかに異質なものを表現している所をどういう風に評価するのか私は興味深いですね。特に主人公の性格やヒロイン達の設定に惹かれたなら買って損はないと思います。今は相当安く買えると思いますし。


My Favorite's

やっぱり主人公の遊佐 祐一ですよね。
特に好きな場面は里沙の引越しを手伝っているシーンで隠していたエログッズをばら撒いた里沙に対して冷静に突っ込む所とか、シルヴィを助ける所とか好きですね。常にクールで今までに無い主人公のタイプでした。
去年のうちにプレイしていたら好きな男性キャラNo.1になっていたでしょう。


備考

今年に入って「ネコっかわいがり!」、「ワンコとリリー」とタイプの違う動物ネタを使った作品をプレイしましたが全てに共通している事は単純な萌えゲーではなく、それを使って表現したいテーマがあったのは間違いないと思います。
わんことくらそうでは何を語りたかったのか? それは主人公・遊佐 祐一のさせられ世間一般の普通の生き方を否定するその言動にある気がします。祐一の台詞として最も印象に残っているのは、


「愛だ恋だなんて、結局、証文のない借金のなすりつけあいみたいなもんだ。形も姿もないものを、それぞれが勝手に『自分の思う愛はこうだ』って主張してぶつけあう。単なる無限のワガママの言い合いだ」


という台詞。何だかエロゲを全否定しているようですが、おそらく否定しているのは恋愛だけでなく当たり前というもの全てに対してではないでしょうか。何故なら祐一は随所で(主に恋愛面)皮肉めいた言動を発していますからね。多分祐一が求めているものはもっと単純なものではないでしょうか? そんな気持ちが込められた台詞が撫子ルートにあります。


「尻尾振って、笑ってろよ」


最後にみかんと語った台詞は印象的でした。




2007年05月10日 草薙静流





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